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七色以外に、もう一色があるんだ。

  • 執筆者の写真: 竇少杰
    竇少杰
  • 2018年4月29日
  • 読了時間: 2分

昨日(2018年4月28日)の午前中、友人を連れて1624年創業の老舗団扇専門メーカーである小丸屋住井を訪問した。そこで住井社長と老舗の経営についていろいろお話できた。

「七色以外に、もう一色がありますよ」と語る住井社長。周知の通り、虹は七色。ほかにはもちろん、色と色の間の融合によって多くの色が存在しているのだが、住井社長が話しているもう一色はそのような意味ではないようだ。ではもう一色は何色であろう。

「無色です。」と住井社長は静かに言う。

無色か。住井社長に曰く、無色は実になかなか出せない色だ。七色は単純明快であり、我々人間はいつも七色の中のどれかの色、あるいはその組み合わせた色を持っている。それは「個性」、あるいは「価値観」、「先入観」だと言えよう。しかし何の色も持たず、つまり「無色」を持つことは逆に大変難しい。

「無」とは、仏教でいうと、「空」である。人間は座禅や修業を通じて「無」や「空」を追求し、できるだけ雑念を捨てて何も考えず、頭を空っぽにしようとする。実際に座禅を体験した方ならわかるが、何も考えずに頭を空っぽにすることはなかなか大変難しいことである。数字を数えて実現しようとするが、その数字はまた頭の中に残っている。

経営の神様と呼ばれるパナソニックの創業者である松下幸之助、その生涯において一番大事にしてきた言葉があり、そは「素直」である。「素直な心は神の知恵に通ずる」と松下幸之助が語ったことがある。素直とは、ありのままの自分を全面に出して、何も飾らずに、何も隠さずに、つまり「無色」の自分になることであろう。しかし素直になることも簡単なことではない。一時的に素直になってても、常に素直な心でいることも大変難しい。素直になることは、実にも「無色」になることであろう。

では、どうすれば「無色」になれるだろう。

「許す心を持つことは無色になれる。」とそう語る住井社長。「他人を許すことは、無になれて、心から熱い幸せを感じられるのです。」人間は生きて行く上、すべて期待した通りに行くわけにはいかない。楽しいこともたくさんあるが、腹立つこともあろう、悲しいこともあろう。その際に常に他人を許すことを意識して、お互いに譲り合って、きっとより良い人間社会になれるだろう。

「人間には欲があって当然で、様々な欲があるからこそ人間社会が発展できる。」とも住井社長は言う。「しかしその際に”我”が出てくると良くない。”我”が出てくると、物事は必ず歪んだ方向になってしまう。」我々が持つべき欲は「利他の心」をベースにした欲なのである。つまり、利他の心を持って物事を考えて実践することも「無色」になれるもう一つの方法である。

共に「無色」になろう。


 
 
 

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