top of page

経営と人材管理:頑張ったら本当に報われるのか

  • 執筆者の写真: 竇少杰
    竇少杰
  • 2018年5月3日
  • 読了時間: 4分

最近、企業経営と人材管理についてよく考えている。

むろん、企業経営にとって、人材管理は非常に重要な部分である。良い人材管理システムが構築されていないと、企業経営はまずうまく行かないだろう。では、具体的に、どのように重要なのか。

2年前、中国国内のコンサルティング会社で営業マンとして勤めている友人A君、私に会うたびにいつも会社の愚痴を言っていた。内容の多くは、彼がその会社で受けた不平で、特に処遇に関するものが多かった。A君はその会社で部長クラスで毎月入手できる賃金額はそれほど安くはない。しかし「それは僕が高い業績を出しているからそのぐらいの賃金をもらうのは当然だ」と、A君は言う。給料がそんなに安くないのであれば、何が不満不平なのか。詳しく話を聞いていくと、会社管理の杜撰さは見えてきた:A君がその会社に就職したのはほぼ10年前。その当時、会社も新しく設立されたベンチャー企業であったし、A君も新米の社会人で仕事経験がなく、もちろん入社時の賃金も安かった。その時、会社がA君に提示した賃金制度は「基本給+営業歩合給」であった。

A君は有能で、業績も著しく成長してきた。やがて会社売上高の半分以上を作ってしまうというキーパーソンになった。その分、A君の収入も、営業歩合給の部分が大きくなってくるため、増加してきた。会社はA君の総収入額を見ていただけで、実際に基本給部分の昇給はほとんどなかった。

ところが、10年後になって、会社も成長してきた。新しい社員も多く入社し、A君にも若手の部下何人がいた。しかし仕事がよくできる彼は、会社に対する不満不平はますます溢れてきた。「部下たちの基本給も僕より高いよ。賃金総額は僕のほうが高いけど、営業歩合給の分が高いだけ、死ぬほど働いているから。同じように働いていたら、僕の賃金総額は部下たちよりも安いはずよ。」「会社の基本給は大体、入社時点での交渉で決定される。僕はその時、市場相場も今のように高くなかったし、自分もそんなに要求できなかった。今の若者は何もできないけど、給料の要求だけはしっかりできている。」以上のA君の話からわかるように、その会社の経営管理はうまくできていないのである。

「売上高の半分以上も作っている人材なのに、何で会社の経営者は大事にしないだろう。」と、筆者は不思議に思う。結局、ついに昨年、A君は自分の有能な部下何人を連れて会社を辞め、独立して前に勤めた会社と同じようなコンサルティング会社を創立した。もちろん昔の会社のお客さんの大半を、A君が新会社へ持ち込んだ。すると想像もできるように、前の会社の経営は大きなダメージを受けることになってしまった。

A君のやり方にはもちろん良いとは思わないが、その前に、彼が勤めていた前の会社の経営管理、特に人材管理の杜撰さは、彼が会社を辞めて独立してしまい、経営が悪化してしまうという結果を生み出した一番重要な原因である。

そして昨日にも、また同じような悩みを持っている友人B君から相談を受けた。「真面目に頑張っている人間は報われない。逆に仕事もせずに、上司に対してよく媚びてる人はどんどん昇進されてしまう。」とB君は言う。これも非常に深刻な問題である。B君が勤めている企業は中国浙江省にある優良企業である。近年、企業が急成長できて、企業規模も大きくなってきた。急成長の段階において、会社の経営管理には問題があってもそれほど深刻な問題として認識されないが、「新常態」と呼ばれる低成長期に入った中国において、この会社の経営は必ず厳しい状況に陥ってしまう。なぜかというと、このままだと、一部の真面目に働く人間も真面目に働かなくなってしまう、つまり、”損した”という気持ちは真面目に働いていた人の中で勝ってくるからである。そしてもう一部の真面目に働く人間はきっと会社から去っていくのだろう。

上記、A君とB君の事例、どれも会社の人材管理に問題が発生していることがわかる。しかし有効な人材管理はやはり会社の経営にとって大変重要なことである。「頑張っていれば報われる。」簡単な道理ではあるが、多くの企業の実践から見るとそう簡単に実現できていないようにも見える。

ではなぜその実現は難しいなのか。どうすれば実現できるのか。まずは、やはり経営者自身が意識して自社の人材管理に問題がないかと常にチェックしなければならないのである。


 
 
 

Comentários


© 2017 by Shaojie DOU

bottom of page