top of page

最近の「モーメンツ」、最近の中国経済


最近、Wechatのモーメンツを見てみると、目立っている言葉がある。それは「厳冬」や「厳寒」、「過冬」などである。春節は過ぎたが、寒い日々はまた続いているのが確かだ。しかし、モーメンツにある「冬」「寒」は自然環境のことではない。経済のことである。

経済構造そのものの問題もあり、中米貿易摩擦の問題もあり、中国経済は最近、確かに厳しいところがある。PMI指数や消費税の税収額、生産者物価指数など、様々な指標はその厳しい状況を語っている。元旦の後に訪問した大手企業2社、どれも「大変な一年だった」、「目標の7割しか達成できていない」と、担当者はその動揺を隠さなかった。「新常態」に続く本当の「厳冬」か。

改革開放政策が打ち出されて40年を過ぎた。これまでの40年間、中国経済は順風満帆に発展してきたわけではないが、1980年代半ばから誕生してきた中国の民営企業、特に1992年の南巡講和の後に生まれてきた民営企業はだいたい中国経済の二桁成長の勢いにうまく乗って急成長を果たしてきた。「5Sって何?俺は自由にしたいんだ。いちいち決めるなんて、俺の仕事を邪魔するな!」とのような、マネジメント皆無の工場や企業でも成長できた。つまり、いくら経営やマネジメントが混乱であっても、経済大環境が絶好調だったので、利益が薄くても企業はなんとか成長できていたのである。そして良い調子に乗って、身の丈を忘れてしまい規模を急速に拡張し、膨らんで「大成功」を収めた企業や経営者が続出していたのである。

しかし、2014年に「新常態」の時代がやってくると、「体質の強くない」“大”企業は次々と厳しい状況に陥ってしまい、倒産も相次いだ。ところが経済の厳しさは「新常態」だけで終わらなかった。今回の「厳冬」が来たのである。「新常態」の時にはもうすでに厳しい状況に直面していた多くの企業、今はどうなっているのだろう。

経済が厳しい時にこそ、「練内功」が必要であり、つまり経営とマネジメントの基礎をしっかり鍛え、企業の「体質」を強くし、筋肉質にしなければならない。では「練内功」はどうすれば良いか。去年から、「日本はバブル崩壊後、どのように乗り越えてきたのか、そのようなことを解説している良い本はないか。」とWechatの友人何人からも聞かれた。確かに、1990年代始め日本のバブル経済が弾けた後、「失われた10年」、「失われた20年」、「平成不況」などの長期不況の中、多くの日本企業は厳しい危機を乗り越えてきたのである。「トヨタ生産方式」、「アメーバ経営」、そして老舗企業経営のしぶとさ…日本企業のこれまでの経験は中国企業に参考され、生かされると良いなとは思う。しかし中国の「魚龍混雑」のコンサルティング市場において、如何に本物の役立つものを識別して我が物にするのかは至難の業である。。。

あと少しで3月、いわゆる「陽春三月」の季節になる。しかし中国経済の本当の「陽春三月」はすぐには来ないかもしれない。しかし厳しい状況だからこそ、我々は心を整理して気持ちを整える必要がある。

「好不況の波は必ずある。不景気の中でも、決して悪いことばかりが起こるのではない。希望に燃えながら、すばらしい夢やロマンを一つひとつ実現していくべきだ。」

経営の神様である稲盛和夫氏のこの言葉を読んで、以上のことを考えた今日この頃である。


bottom of page