働くということ
- 竇少杰
- 2019年4月19日
- 読了時間: 4分

働くってどのようになっているのだろう。
最近、「働く」について、結構話題になっていると思う。日本政府では「働き改革」について議論されているし、民間でも様々なことが話題になっている中、「働く」に関することが多いように感じている。例えば「コンビニの反乱」。話題になっているように、24時間営業をやめたいというコンビニの店舗の数は少なくない。その背景にあるのが、労働力確保の難しさがある。つまり夜勤の仕事に従事してくれる労働者はなかなか確保できないのだとか。また、「働く」について話題になっているのは日本国内のことだけではなく、今、かなり注目されているのがアメリカのウーバー社であろう。
ご存知のように、ウーバー社は世界最大のインターネット配車サービスを提供している会社であり、今年の5月の株式上場を目指していることも報道されている。しかしその矢先、その「働く」について世界中において議論されるようになってしまった。4月13日の日本経済新聞のウェブ版では、「運転手は従業員か ウーバー、事業モデル崩れるリスク」という記事があった。ウーバーは世界中に約390万人の運転手をもっているのだが、果たして彼(女)らは従業員か、個人事業主か。ウーバー社はあくまでも「個人事業主だ」と主張するが、その主張はどれほど説得力があるかは疑問のようだ。“米国内外における運転手や政府機関からの異議申し立てがあり、ウーバーの申請書類によると「世界中で数多く抱えている」という。英国の雇用審判所はある訴訟の中で運転手は自営業者ではなく労働者であると認定し、仏最高裁も料理配達サービスの運転手はウーバーと「従属関係にある」と雇用関係を示唆する判断を示している。”従業員たちは従業員であると判断された場合、ウーバーはすべての運転手に対して労災や保険、最低賃金など、労働者保護の様々な法律・法令に従って対応する義務が生じてくる。そうなるとウーバーのビジネスモデルは崩壊してしまうのであろう。
個人事業主か、従業員か、この問題はもちろん非常に重要だが、これとは別に、「働く」についてまた別の課題もある。先週から放送し始めたTBSの新しい火曜ドラマ「わたし、定時で帰ります。」を観た人は少なくないだろう。ドラマの中、最初話でもかなりの火花が:売り手市場、求人難という今日の時代背景の設定、仕事を命だと思っている皆勤賞女・三谷佳菜子は新人女子・小泉咲との間で働きの考え方をめぐって大きなトラブルが発生し、結局、小泉は会社を辞めていってしまった。そんな中、「わたしは頑張りません」「定時で帰ります」と宣言している主人公・東山結衣の新人時代の教育係であり、先輩でもある賤ヶ岳八重が産休から職場に復帰する。果たして東山結衣と賤ヶ岳八重との間でどのようなドラマが生まれるだろう。第2話も楽しみだ。
しかしドラマを観るだけならいいが、働くということを考えると「時代が変わったなぁ」と感嘆する。かつての日本では会社員であれば会社のために尽くし、一生懸命に働くことはごく当たり前で、「過労死」、「過労自殺」のような言葉も生み出したのである。仕事にミスや問題があったら上司や先輩に叱られるのもごく普通のことだったかもしれない。しかし今は違う:仕事はあくまでも生活の一部であり、私生活の充実やワークライフバランスが強調されており、「◯◯ハラスメント」というような言葉も増殖中。新人たちは不満があったらすぐに仕事を辞めてしまい、「根性が欠けている」「しぶとさが足りない」「メンタルが弱い」と職場の「旧人」は「新人」たちとの付き合いにも困っているようである。
これも日本だけの問題ではない。最近、中国でも「996」について国民的論争が進行中だ。「996」とは「朝9時出勤し、夜9時まで働き、週6日間ずっとこの調子」と一生懸命に働くことを意味する。話題の発端は中国の最大手IT企業アリババの創業者であるジャック・マーの「996」を呼びかけたと思われる発言であった。先にはSNSで話題になり、多くの有名人も転送・コメントするようになって、人民日報も話題を取り上げたことで論争に発展したのである。つまり「996」に賛同する人々もいれば、同調できない人たちも多くいるのだ。実はこれまで、「働く」の考え方について中国ではすでに様々な議論が行われてきた。「60後」・「70後」・「80後」・「90後」との言葉もあった。「60後」と「70後」は「1960年代生まれ」「1970年代生まれ」の人たちを指しており、「言われなくても自ら働いていく」という人たちだと言う。「80後」は「1980年代生まれ」の人たちで、「言われたら働く」人たちだそうです。そして「90後」は「1990年代生まれ」の人たちで、「言われても働かない」「よく理解できない」人たちだと言われている。経済の高度成長で激しく変化してきた中国の社会を生々しく描いている言葉であった。「00後」(2000年以降生まれの人)たちもいよいよ社会進出してくる今の時代、「60後」のジャック・マー(1964年生まれ)に「996」と言われても、確かに「何を言っているんだ?」と、若者たちには理解できないのだろう。
時代が変わってきているのは確かだ。企業のビジネスモデルも人事管理のあり方も、時代の変化とともに自ら変えていかなくてはならない。そして大学教育の現場も同じかもしれない。
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